理事長コラム
6月度コラム

皆さんも自分のバイブルというか、「心の一冊」という本があるかと思いますが、自分にも20代の頃読んだ本で「人は 人によりて 人となる ~井上昌俊著 プレジデント社~」があります。内容は家族、人間関係、仕事と自立、学校と教育、老いと死についてであり、今読み返してもその当時とは違った部分で共感できたり、心が癒されたりします。
それを初めて手に取ったのは、大学卒業後、東京・青梅にあります和菓子屋で修行を積んでいた頃であります。書店で平積みしてある本の中にその一冊がありました。目次を見ていると「最初の職場が人生を左右する」というのがありました。職場やその人間関係に恵まれようが恵まれまいが、最初の会社や職場はその人の人生を左右する要素が強いというのです。
私自身学校を出て最初の職場であるその和菓子屋は、作家の吉川英治ゆかりの和菓子屋で、修行時代はよく社長に生前の吉川英治の言葉を聞かされました。その中でも一番心に残り、吉川先生が自身の座右の銘にしている言葉があります。「我以外皆我師」という言葉であります。「自分以外のひとや、もの、全てのものが自分に何かを教えてくれる先生である」という意味でありますが、自分自身もいつも心に置いている言葉であります。
その修行時代には、同じように修行に来ている同世代の仲間が数人いて、月に一度の和菓子の品評会に競い合いながら出品し、時には3日間徹夜で作品作りに没頭したこともありました。また当時の人気番組「料理の鉄人」の影響もあり、吉川英治の甥に当たる社長に「ここで修行を積んだ後は、洋菓子の良さも取り入れたいので、フランスに行きたいと思ってるんです」と言ったところ、「そこまで言ったのは君がはじめてだ」と「それなら一度、知人を紹介してあげるから、下見に行ってきたらどうだ」と言って頂きました。そして、2週間ぐらいの休暇を頂き、イタリアに行かせて頂いたこともありました。
今となって、その当時よく社長が言っていた色々な言葉が「ぽっ、ぽっ」と出てくることがあります。年齢を重ねるうちに、その「鈴木博」という人物から影響を受けている自分に気づかされます。自分にとって人生最初の職場がその和菓子屋であり、そして社長であったことに大変感謝をしていますし、今自分が経営者という立場になって、その社長の寛容さに頭が下がる思いであります。そして、そこで経験したことや社長の考えが自分の人生の宝となっていくのだと思います。
- Posted in 理事長コラム
- 2010/06/06 (日) 1:13




